肝臓の解毒作用② 立体構造が決める物性

抗原とは、人体が「毒」とみなす物質のことで、これに対して攻撃したり食作用で消化したりする物質を抗体といいます。抗原はいろいろなタイプがあります。タイプの違いは、物質の立体構造によります。構成元素が同じ物質でも、ねじれかたや立体構造が違うだけで薬になるか毒になるか分かれます。
 
例えばサリドマイドという物質は、催眠作用があることが注目され睡眠薬として使われていましたが、光学異性体であるR体とS体では作用が異なり、S体の方は四肢短縮の副作用があります。つまり、この薬を服用した妊婦が奇形児を生む可能性がある、ということです。
 
この副作用に気づくのが、実例が起こってしまったあとだったのは非常に残念ですが、最近では、催眠作用として信用されてきたR体もS体に変化することがわかってきたので、R体だけを抽出したからといって安全だ、とは言い切れなくなってきました。一方で、有用な使い方としても、がん細胞の増殖予防やエイズウィルスの増殖抑制など、より研究が進められています。
 
このように抗原には立体構造が大きく作用するので、同時に抗体の立体構造も大きく作用することになります。抗体の可変部のアミノ酸配列(タンパク質を分解するとアミノ酸になります)が何百種類と存在するので、抗体と抗原が1対1で反応することができるのです。つまり立体構造は物質の特性を決めるのにとても重要な要素となっていて、医療でも生命科学でも化学の分野でも、等しく研究されるテーマとなっています。

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